景観色とは
景観色にかかせない10YR(じゅうワイアール)
基準となるのは塗料用標準色
10YRって何?ですよね。
この数字とアルファベットの組み合わせは色を数値化したものですが、マンセル色相表示というものになります。
色の種類、色の表し方にはテレビモニターなどの色を表すRGB、紙印刷の色のCMYK、世界共通の色見本であるPANTONE(パントーン)カラーなど非常に多くありますが、景観色彩の基準を考える上でよく使われているのは、建築や塗装など景観に関連する業界に広く普及している色見本帳である“日本塗料工業会標準色見本帳”に記載されている塗料用標準色になります。
この標準色は日本塗料工業会(外部リンク)が発行しているものです。
JIS安全色や配管識別、景観配慮型防護柵色等も収録されており景観色とは切っても切れないカラーガイドになります。
ここで色について少し学んでみましょう。
色の三属性
目に見えるすべての色は、“色合い(=色相)”“明るさ(=明度)”“鮮やかさ(=彩度)”の3つの要素で成り立っており、これを色の三属性といいます。
この色の三属性を記号と数値に置き換えて表示する方法としてマンセル表色系があります。
マンセル表色系はJIS(日本工業規格)などにも採用され、国際的な色の尺度として採用されています。
景観色については、国土交通省や自治体においてマンセル表色系を用いて色を表示することが多いです。
(むしろ、ほぼマンセル値で表記しています)
※日本塗料工業会の色票番号とマンセル値は表記が違うので注意が必要です。
マンセル表色系では、色の三属性について次のように表示しています。
<色相>
10種類の色相に区分し、さらに各色相を10等分して、合計100色相を設定しています。
【基本10 色相】
(基本5 色相) R(赤)、 Y(黄)、 G(緑)、 B(青)、 P(紫)
+
基本 5色相の中間色相) YR(黄赤)、 GY(黄緑)、 BG(青緑)、 PB(青紫)、 RP(赤紫)
<明度>
黒(反射率0%)を0、白(反射率100%)を10と設定し、その間の明るさが知覚的に等間隔となるように10段階に分割して数値で表します。
暗い色ほど数値が小さく、明るい色ほど数値が大きくなり10近くになります。
<彩度>
白、黒、灰色の無彩色を0とし、色みが増し鮮やかになるにしたがって、数値が増えていきます。
数値は知覚的に等間隔の差で並べてあります。最も鮮やかな色彩の彩度値は色相によって異なり、赤の純色(最も鮮やかな色)は彩度14、緑みの青の純色は彩度8となります。
色について少しだけご理解頂けましたでしょうか。
7.5R 4/14
この数値はJIS安全色彩で防火を示す色とされています。
消防車や消火器はこの色を基準にしています。
様々な色を数値化して標準色、基準色としていますが、その中でも色票番号『10YR』の色は 『困ったら10YRで』と言われるくらい景観との関係性の深い色になります。
景観シートのカラーは10YR 4/1.5程度を基準とする、 国土交通省が景観色として推奨するダークブラウンで製造しています。
求められる景観色
あるべきところにあるべき色彩
海外の写真や映像を見ると、日本にはない景色や街並みに目を奪われることでしょう。
逆に外国人は日本の景色に自国に無い雰囲気を感じ、それが魅力だと言います。
何がそんなに国によって大きく違うのでしょうか。その大きな違いの一つに「色」があります。
家を見てみましょう。屋根があり、壁があり、扉や窓がある。これは世界共通です。
そしてその家が数多く並ぶことで街並みがあります。これも世界共通です。
しかし、そこに使われている色が違います。
色彩の違いです。
人工物だけではなく、自然に目を向けても木の幹の色、葉の色、土の色、空の色、海の色など、全てが違います。
それぞれの国にはそれぞれの色彩があります。
日本には日本の色があります。
さらに日本には四つの季節があり、四季折々の美しい色があります。
世界で最も色の名前が多い国といわれていることからも、日本には色彩を大切にする文化があることがわかります。
景観が統一された日本の町並み
色ではなく明度で統一感を出している町並み
国土交通省が推奨する景観色
国土交通省による「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」で推奨された
景観三色(けいかんさんしょく)と呼ばれる基本の3色「ダークブラウン」、「グレーベージュ」、「ダークグレー」が、一般的に景観色と呼ばれています。
日本には日本の、海外には海外の景色に馴染む色があり、この基本3色は日本のほとんどの場所に馴染む色と言われています。
景観との調和を保つために
現在では公共工事や都市計画においても間違った色の選択をしないよう景観に調和する色を選定するためのガイドラインが策定され、市町村行政、役所の各課の担当も非常に気を配っています。
看板や柵、ガードレールなど本来的な機能を満足させる一方で景観を損なわない色づかいが求められます。
慣例や習慣、または個人の独断や好みで選ばれるのではなく、その景色にふれる人々の目から見て広く共有できる色彩でなくてはなりません。
多くの人々の目に留まる景色の中に使う色は、周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行うことを基本とし、脇役に徹した控えめな存在とすることにより、良好な周辺環境を際立たせることで景観全体の秩序が保たれることになり、景観全体の質の向上につながります。
国土交通省では「公共事業に関わるすべての分野の担当者が、より豊かな景観形成実現に向けた色彩計画を行うため」としての手順を示す手引書を作成するなど、国を挙げての景観への意識の向上、啓発が盛んになってきています。
「美しいもの、良いものは人を幸せにする。公共事業は、ふる里の風景を創りそして守り、色彩はそれを優しく包み、表現する役割を持っている」という説明もあります。
景観シートはそのような景観的調和を図る製品として、もっとも身近で手軽に活用できるものの一つです。
景観に馴染む色彩のガードレール
景観色のネットを使用した葡萄畑
お花見会場などブルーシートと景観シートを使った場合の違い、ビフォー・アフターを写真で見てみましょう。
ビフォー・アフター写真はこちら